警視庁のデータによると平成14年、刑法犯認知件数が戦後最悪の285万3,739件を記録。 平成15年からは減少に転じ、平成22年も158万5,856件と8年連続で減少し、昭和60年代の水準まで回復しました。しかし、治安が良いとされた昭和40年代(120万前後で推移)と比べると、約1.3倍となっており、まだ減少の余地があるものとなっています。このような犯罪情勢の中で、家族の安全と財産を守る防犯対策を考えるためには、侵入犯罪の現状を知ることが非常に大切です。
侵入窃盗の認知件数は、平成15年以降減少に転じ、平成22年は136,552件、前年比-8.0%と8年連続で減少しています。また、このうち住宅対象侵入窃盗は、平成16年以降減少しており、平成22年は74,558件で前年比-8.4%と、同じく連続して減少しています。しかしながら、一日当たり約200件もの住宅に対する侵入窃盗が発生しており、未だ多くの住宅が被害に遭っているのが実状です。
侵入犯罪のなかでも最も怖いのが侵入強盗と呼ばれる犯罪です。住宅や店舗内に住人がいるにもかかわらず侵入し、見つかればそのまま強盗になるというパターンです。侵入強盗に伴う身体犯(※「侵入強盗に伴う身体犯」とは、侵入強盗のうち、強盗殺人・致死、強盗傷人、強盗強姦をいう。)の認知件数は強盗殺人、強盗致傷等の認知件数は、平成16年以降減少し、平成22年は329件で、前年比5.7%減少していますが、それを少ないとみるか、多いとみるかは別問題として現在も実際に発生しています。
まずは、侵入されないためにどのようにするかを第一に考えていかなければなりません。泥棒の狙う家は「入りやすい家」「入る時に見つかりにくい家」がまず第一となります。「うちには、盗られる物が無いから・・・」と安心したところで、泥棒にとっては「盗るものがあるか、ないか」は入ってみないとわかりません。侵入した後に盗るものが無いと気が焦りますので逆上して強盗になる場合もあります。盗られる物の心配も、もちろんですが自身の身体の安全を守ることが第一優先です。
では狙われやすい家、入りやすい家とはどんな家のことか考えてみましょう。
高い壁で自宅を囲めば侵入されにくくなり安心?のような気がしますが、実は逆効果となる場合が多くあります。 高くするにも限界はありますし、侵入者が壁を乗り越えてくるとは限りません、実際は門や裏口から堂々と侵入してくることが多く、侵入者にとって壁が高ければ高いほど、外から見られる事が無くなるため仕事がしやすくなります。高い壁は泥棒によって都合のいい隠れ場所となります。同様に表通りから少し入ったところにある家や裏通りに面した家なども狙われやすくなります。
1階の玄関や窓には錠をかけている人でも2階の窓の施錠を忘れていることが多くあります。 2階だから人が入って来れないと無意識のうちに思ってしまい施錠する事を忘れてしまうようです。
また、2階などは1階と比べて補助錠が付いていないことも多く比較的防犯性が劣るため狙われやすくなります。ベランダの下や窓の近くに電柱や大きな木、屋外設置タイプの物置、エアコンの室外機など足場になりそうなものがある家は要注意です。庭や屋外にハシゴや脚立を放置しておくのは問題外です。
空き巣の活動時間は主に昼間が多く、隣近所も含めて日中に住民があまりいない、人通りが少ない地域は被害にあう確率も高くなります。また、樹木の多い公園や空き地、人気の少ない駐車場に隣接している場合は物音がもれても誰も気にしないため、泥棒にとっては都合のよい環境となります。
逆に、工場や主要幹線道路、鉄道から近く、一日中騒音が絶えないような場所では、まわりに音が伝わる心配をしなくてすむため、ガラスを割ったり錠やドアを破壊したりといった方法で侵入する事が多くなります。
戸建と同じくマンションやアパートなどの集合住宅でもまわりからの見通しが悪いと狙われやすい条件になってしまいます。住宅が密集している地域では通路や窓の外に目隠しを設置しているところが多くありますが防犯面では逆効果となります。
最近多くなっている単身者向けの短期型契約マンションなどは日中は建物自体が無人となることも多く狙われやすくなっています。都会やアパート・マンションでは隣近所との付き合いも希薄になりがちで、隣人の顔すら分からない、隣の部屋のカギを開けようとしているのがそこの住人かどうかさえ分からないということが多くあります。こういった事情も泥棒に狙われやすい状況を作っています。
マンションやアパートがまるごと一棟同じ種類の錠前を使っていて、ピッキングやカム送り解錠などで侵入できるタイプの錠前は、次から次に同じ手口で何件も効率よく開けていける為ピッキング窃盗団にとっては非常に狙いやすい建物となります。
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